フリースクールに通う4つのメリット

子どもが学校に行かれなくなったとき、フリースクールは親子の受け皿になります。
フリースクールには「行く場所ができた」というメリットだけでなく、実はもっとたくさんのメリットがあります。

今回は、意外と気がつかないフリースクールのメリットを4つお話しします。

「学校に行かなければならない」という同調圧力から抜け出せる


不登校が始まった直後は、子どもも「本当は学校に行かなければならない」という思いが強く、不登校であることに罪悪感をもつことがあります。
また、親も子どもの想定外の行動に驚き「なんとか学校に行かせなければならない」と焦ってしまうのです。

焦りと罪悪感の原因は「子どもは学校に行かなければならない」という同調圧力にあるのではないでしょうか。
本来の義務教育の意味は「子どもは教育を受ける権利があり、親は教育を受けさせる義務がある」ということです。

学びの場は、学校だけではないはずです。
子どもが不登校になったのならば、親は学校以外でも「子どもが学べる場所」をみつけてあげる必要があるのではないでしょうか。
不登校になり誰とも会わない日々が続けば考え方の視野はせまくなりがちです。

フリースクールに通うと、子どもは「自分も学びの場に行っている」という自信がつき「学校に行かなければならない」「学びの場は学校だけ」という同調圧力から逃れることができるのではないでしょうか。
また、親も「新しい一歩を踏み出せた」という安心感から焦りは消えていくでしょう。


親の気持ちが楽になる


不登校が始まると、子どもと同等かそれ以上に親は悩みます。
「これからどうなるのだろう」「自分の育て方が悪かったのかも」と自分を責めたり、ストレスを抱えたりします。
もちろん、学校の先生やスクールカウンセラーに相談することもできます。
しかし、不安な親の気持ちをまるごと理解し、正直な気持ちを打ち明けられる相手は「同じ立場の人」かもしれません。

フリースクールには、保護者会が設けられているところが多いです。
保護者会は、月に数回行われる会で「不登校児童のママ友会」というイメージです。
子どもが不登校になると今までのママ友とは疎遠になる傾向があります。
親の中には、子どもが不登校になったことで「ママ友と会いにくい」と感じる人もいるでしょう。
フリースクールの保護者会は、みんなが同じ立場で同じ悩みを抱えているママ友です。
孤独に悩んでいた親も子どもがフリースクールに通うことで、孤独な不安感から抜け出すチャンスを得られるでしょう。


自分の将来を前向きに考えられるようになる


不登校の子どもたちは、子どもなりに自分の将来について考えています。
考えてはいるけれど、家庭と学校がすべての世界だった子どもたちにとって、学校に行かれない状況は八方ふさがりの状況です。
八方ふさがりの状況で親や先生から「これからどうするの」と聞かれても「階段のない建物にのぼれ」と言われているようなものでしょう。

フリースクールは、建物にかかる階段の役割です。
少しずつ自分の足で階段をのぼり、目の前にある建物(目標)の頂上を目指します。
階段をのぼるスピードには個人差があります。
それでも1段ずつのぼっていれば、いつかは頂上に到着します。
「できるかもしれない」という小さなきっかけが顔を上げる大きなきっかけになります。

兄弟姉妹への影響を小さくすることができる


不登校児童に兄弟姉妹がいるときには配慮が必要です。
不登校になると生活が不規則になり、昼夜逆転する子どももいます。
「朝ごはんだけは家族そろって食べる」や「7時までには起きる」など最低限のルールを作ることが配慮になります。

また、不登校の子どもと登校している子どもを比べて「あなたは不登校になったりしないわよね」や「あの子は学校に行かなくてもいいの」と言えば、どちらかにうっぷんがたまるでしょう。
親は子どもが学校に行きたくても行かれない気持ちを代弁し、登校している子どもに理解してもらうことが大切です。

ただ、不登校が長引けば兄弟姉妹も「そろそろ登校できるのでは」「私だって休みたいのに」と思うでしょう。
また、不登校の子ども自身も兄弟姉妹と自分を比較し劣等感をもってしまうかもしれません。
フリースクールは、新しい居場所です。
学校ではないけれど、学べる場所をみつけて一歩を踏み出す姿は兄弟姉妹にも刺激を与え、不登校による影響を小さくすることができます。


おわりに


大木は、太い幹の横にたくさんの枝を茂らせています。
立派な木になるためには、上に伸びるだけでなく、横にも枝葉を広げる必要があります。
フリースクールは、まさに横に伸びる枝葉ではないでしょうか。
子どもだけでなく親にも「上に伸びることができないときには横に伸びればいい」と思わせてくれる場所がフリースクールです。

フリースクールは学校に戻るまでの「つなぎの場所」ではありません。
フリースクールは新たな居場所であり、フリースクールならではのメリットがあります。

 

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

関連記事

  1. 【フリースクール】子どもが不登校になりそうになったときに親が知っておき…

  2. フリースクールに通う前に知っておきたいこと

  3. フリースクールと学校の役割の違いとは

  4. いいフリースクールの見抜き方5つのポイント

  5. 子どもの様子が変!? 不登校になるまでとフリースクールを始める時期

  6. フリースクールを検討するタイミングとは? 子どもからのサイン例

  7. フリースクールとは? 知っておきたいフリースクールの基礎知識

PAGE TOP