絵画教室の子どもクラスは年齢の幅が広い! 異年齢が一緒に学ぶメリットとデメリット


絵画教室の子どもクラスでは、4歳ごろから小学校高学年まで幅広い年齢の子どもたちが一緒に学んでいます。
小さな子どもをもつ親の中には「年が離れた子どもと一緒でも大丈夫かしら」や「絵のスキルに差がありすぎて心配」など年齢に関して心配になることがあるかもしれません。
実は、異年齢が一緒に学ぶことにはたくさんのメリットがあります。
今回は、異年齢が一緒に学ぶメリットとデメリットをお話しします。

メリット:年下の子は年上の子を身近な目標にできる


絵画には成績や昇級試験がありません。
そのため「どの絵が優れているか」は上手さではなく、ひとり一人の好みによって決まります。
中学校入学前の子どもにゴッホやセザンヌの絵のすばらしさを理解させることは難しいです。
子どもたちは、大人に「有名な絵だよ」と言われたら「有名な絵=すばらしい」と思うでしょう。
一方、小さな子どもたちでも自分の素直な感情で「すばらしい」と感じられる絵があります。
それは「身近な人が描いた絵」です。お母さんがキャラクターの絵を上手に描いたら子どもは感動します。
同じようにいつも同じ教室で絵を描いているお兄さんやお姉さんが上手な絵を描けば、子どもは驚きとあこがれの気持ちが湧き出すのです。

異年齢が一緒に学ぶことで、年下の子は年上の子の作品をみることができます。
「同じテーマで描いた絵でもこんな風に描けるのか」「私もこういう風に描けるようになりたい」と身近な目標にすることができるのです。
美術館に飾ってある絵を目標にすることは、雲の上に手を伸ばす感覚になりますが、身近な人の絵が目標ならば「がんばればできるかも」と思えるメリットもあります。

 

メリット:年上の子は年下の子がいることで自分のハードルを上げられる


同年齢の子どもだけで絵を描いていると緊張感が薄れることがあります。
絵のスキルに個人差があることは確かです。
同年齢の子どもでも、器用になんでも描ける子がいれば不器用な子もいます。
それが「同年齢」という集まりになると「個人差があるからしょうがない」という思いが出てきてしまい「しっかり描く」という緊張感が薄れてしまうことがあるのです。

一方、異年齢が一緒に絵を描いていると年上の子は「年下に負けられない」「恥ずかしくない絵を描きたい」という緊張感がわいてきます。
年下の子の存在が「個人差があるからしょうがない」という考えをかき消してくれるのです。

 

メリット:興味や視野を広げられる


大人と子どもでは「1歳差」の大きさが違います。
大人にとっての1歳はほとんど差を感じませんが、子どもの1歳差は発達も流行も違います。
例えば、現役の幼稚園児と小学校6年生とでは幼稚園の頃にみていたテレビ番組も遊び方も違います。
異年齢は年齢が違うだけでなく、育ってきた時代や環境も違うのです。

自分と違った部分が多い人と接することで視野を広げることができます。
「こんな考え方もあるのか」「こんなものがあったのか」と興味の幅を広げることができるのです。

デメリット:上下関係や力関係ができてしまうことがある


高校生や大学生になると先輩と後輩の関係が大きな成長につながります。
しかし、未就学児や小学生はまだ幼いため、先輩と後輩という関係ではなく、上下の力関係になってしまうことがあるのです。

悪い上下関係や力関係を生まないためには、先生の存在がとても大切です。
異年齢が一緒に学ぶ教室は、子どもがのびのびと絵を描ける環境を整えつつ、メリハリと節度を守る雰囲気も整えなければなりません。
異年齢が一緒に学ぶ絵画教室を選ぶポイントは「自由な雰囲気の中にもメリハリがあること」と「親が子どもの様子に異変を感じたときに気軽に相談できる先生がいること」です。

 

デメリット:協調性や発達に差がありストレスを感じることがある


集中力や協調性は年齢による差が大きいです。
小さな子どもは集中できる時間が短く、まわりの空気を読む力があまりありません。
そのため、絵に集中したい高学年の子どもや自分と相手との距離感を大切にする子どもには異年齢と一緒の教室がストレスになることがあります。

異年齢が一緒に学ぶためには、ある程度の協調性は必要です。
たとえ未就学児でも相手の迷惑になる行動や危ないことは避ける必要があります。
もしも心配がある場合は、親子で受講できる教室を選ぶといいでしょう。

 

先生の目が行き届いて「個」を大切にする教室選びがポイント


異年齢が一緒に学ぶ場所にはメリットとデメリットがあります。
絵画には年齢によるスキル差はあっても感性の差はありません。
年上の子が年下の子の驚くべき感性に刺激を受けることもあります。
異年齢が一緒に学ぶメリットがたくさんあり、デメリットが少ない教室を選ぶポイントは、年齢に関係なく個の感性をみんなが大切にしている教室です。
そして、先生の目が行き届き、保護者との連携が取れている教室です。

 

おわりに


学校の教室は同年齢が集まり、競争や協同しながら成長します。
絵画教室では異年齢が集まり、感性を刺激しあいながら成長します。
子どもはスポンジのようにさまざまなことを吸収し成長します。
感受性の鋭い成長期に幅広い年齢の子どもたちと接して、子どもの感性を育ててみてはいかがでしょうか。

 

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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