フリースクールと学校の役割の違いとは

フリースクールと学校の役割には違いがあります。
フリースクールは不登校の子どもが通う「学校代わりの学校」と思っている人も多いのではないでしょうか。
フリースクールは学校ではなく心を癒す「居場所」です。

今回は、フリースクールの見方が180度変わるかもしれない「フリースクールと学校の役割の違い」をお話しします。

フリースクールは自己肯定感を取り戻す役割


学校の役割はたくさんあります。
とくに大切な役割は、生きていくために必要な学力やさまざまな人たちと上手に付き合える社会性を身につけることではないでしょうか。
言い換えれば、現状維持ではなくガンガン前に進んでいくことが求められる場所です。

一方、フリースクールは前に進む場所ではなく、失いかけている自己肯定感を取り戻す役割があります。
フリースクールには、さまざまな事情から学校に登校できなくなった子どもたちがやってきます。
「登校できなくなった」という状態は、物理的に学校に行かれなくなったというだけでなく、当たり前にできていたことができなくなったという自信喪失の中に追いやられる状態です。

フリースクールには、前に進むのではなく、前に進める状態まで心が回復できるように癒す役割があります。


フリースクールは子どもの生き方の視野を広げる役割


不登校になった子どもは、人生のレールからはずれた感覚に陥っているかもしれません。
大人になれば「不登校でも立派な大人になれる」「不登校くらいで人生は終わらない」ということがわかりますが、小さな世界で生きている子どもたちには学校が世界のすべてです。

フリースクールには、学校という世界で生きてきた子どもの視野を広げる役割があります。
学校教育でも世界や地球に目を向けて視野を広げる教育を行っていますが、フリースクールとは優先順位が違います。
フリースクールに通ってくる子どもにとって「生き方の視野を広げること」の優先順位はずっと上にあります。

「不登校から立派になった人がいる」「学校以外でも学べる場所がある」のように、学校という枠を超えた生き方まで視野を広げることで「不登校でも大丈夫」「自分はレールからはずれたわけではない」ということがわかり、自己肯定感を取り戻すことにつながります。


フリースクールはクラス運営ではなくひとりを支援する役割


学校はクラス運営に力を注ぎます。
先生は「元気なクラス」「がんばるクラス」を目標にしながら全員を支援します。
子どもたちは、クラスの雰囲気をよくするために頑張り、協調性や社会性を身につけていきます。
子どもの心が元気なときにはみんなの前向きなパワーが背中を押してくれるでしょう。
しかし、学校に行くことがつらくなってきたとき、不登校になったときには、みんなの元気なパワーが負担に感じることがあります。
例えば、本当に心がつらいとき、周囲から「がんばろう」と言われたとします。
心の中では「がんばれないから落ち込んでいるのだよ」「放っておいてほしい」と思うのではないでしょうか。

学校は、心が元気なときにはみんなで前に進める場所です。
フリースクールは、心の元気がなくなり前に進めない子どもに「みんなと一緒じゃなくても大丈夫」「あなたのペースでいい」と寄り添い、ひとりを支援する役割があります。


フリースクールは居場所確保の役割

学校で自分の居場所(立ち位置)がある子どもは「学校に行きたくない」と思わないのかもしれません。
教室にひとりでいることが多い子どもでも、周囲を気にせずひとりの時間が充実していれば居場所は確保できています。
さらに居心地がいい居場所を確保するためには、社交性そして協調性が関係してくるのではないでしょうか。
家庭環境や性格が全く違う子どもたちの中で自分の居場所をしっかりと確保するために必要なことは意外と多いのです。

フリースクールは、学校に居場所ができなかった子どもの居場所になる役割があります。
フリースクールには時間割や集団行動など「できる子」と「できない子」で居心地が悪くなる要素がないため、どんな子どもでも「来るだけ」で居場所は確保できるのです。

フリースクールの中で自分の居場所を確保できれば自信になります。
社交性や協調性は、心が元気になってからでも遅くはありません。

 


おわりに

大人になってから学校時代を振り返ると、いいことも悪いこともありました。
いいことは自信になり、悪いことは「強さの基」になっています。
しかし、悪いことを「強さの基」にできるときは心に余裕があるときです。
心に余裕がないときに悪いことがあれば、心は打ちのめされます。

子どもが不登校の理由を言ったとき「そんなことくらいで」と言いたくなるかもしれません。
しかし不登校になる子どもの心は余裕がない状態です。
「バネにして強くなれ」と言うのではなく、回復できる時間と場所を与えてください。
バネにして強くなれる場所が学校、心を回復させる場所がフリースクールです。

 

文筆:式部順子(しきべ じゅんこ) 武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業 サークルは五美術大学管弦楽団に在籍し、他大学の美大生や留学生との交流を通じ、油絵や映像という垣根を超えた視野をみにつけることができた。 在学中よりエッセイを執筆。「感性さえあれば、美術は場所や立場を超えて心を解き放つ」をモットーに美術の魅力を発信。子育て中に保育士資格を取得。今後は自身の子育て経験もいかし「美術が子どもに与える影響」「感性の大切さ」を伝えていきたい。

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